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2021.02.12
ペット関連企業

ペットテックビジネスと法規制①(IoTビジネスに関する法規制)

1 ペットテックとは?

ペットテック(PetTech)とは、ペット(Pet)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、特に先端のICT、デジタル技術を応用してペット飼育者を支援する商品やサービスを指します。

ペットテック市場が立ち上がったのは欧米、特に米国で、APPA(American Pet Products Association)の統計によると、2018年全米では約8500万世帯がイヌを飼い、ペット産業の消費額は725.6億ドル(約8兆円)に及ぶと言われています。

2 日本のペットテックサービス

日本のペットテック市場の分析に関しては、株式会社シロップ代表の大久保さんのnote株式会社アニマルクエストさんのペット領域ベンチャーカオスマップ

あたりがめちゃくちゃよくまとまっているので、そちらをご覧いただければ。

本記事では、上記で紹介したカオスマップの分類を参考に、

①IoT系

②マッチング系

③バイオ・メディカル(ヘルスケア)系

④フード系

それぞれに特有のケアしておくべき法規制があります。今回は①IoTビジネスに関する法規制を説明します。

 

3 IoT系ペットテックでチェックしておきたい法規制

IoTデバイスに関しては,電気用品安全法(https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/)消費生活用製品安全法(https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/act_outline.html),家庭用品品質表示法(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/),また,個人情報を含む生活情報を収集して個々のユーザーごとの最適化を図るような機能があるデバイスは,個人情報保護法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000057),アプリと連携するデバイスは,電気通信事業法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=359AC0000000086)がそれぞれ問題になります。

ア 電気用品安全法

いわゆるスマートホームサービスに利用されるデバイスは基本的に,同法の「電気用品」に該当します。これに該当する場合,

・事業開始日から30日以内に,所定事項を経済産業大臣に届け出る(3条)

・届け出た製品の技術基準適合義務(8条1項,技術基準省令2条から6条)

・自主検査・適合性検査と検査記録の作成・保存(8条2項,9条1項)

・PSEマークの表示(10条2項)

PSEマークの表示がない電気用品は,販売陳列が禁止されています。

⇒詳細は電気用品安全法 法令業務実施手引書

・遠隔操作機能を持たせる場合,「危険が生ずる恐れがないもの」と評価される必要があり,そのための各種技術基準を充たす必要があります(技術基準省令解釈別表第八1⑵ろ(ロ)b)。

イ 消費生活用製品安全法

一般消費者の生活の用に供される製品を「消費生活用製品」と言い,特に危険が生じやすいものを「特定製品」および「特定保守製品」と定めています(2条)。

基本的にスマートホームサービスに利用されるデバイスは,基本的に消費生活用製と言えます。

・製品事故情報の収集と公表(34条1項,2項,36条1項)

・事故原因の究明と再発防止対策に努める義務(38条2項,2項)

・特定製品及び特定保守製品に対する主な規制として,事業届出義務,技術基準適合義務,自主検査又は適合検査実施義務,PSEマークの表示。特定保守製品に関しては,長期使用製品安全点検・表示制度が定められています。

ウ 家庭用品品質表示法

「電気機械器具」であって「一般消費者がその購入に際し品質を識別することが著しく困難であり,かつその品質を識別することが特に必要であると認められるものであって,政令で定めるもの」(2条1項1号)が対象になります。

⇒エアコン,電子レンジなど,いわゆる家電系が対象になりますので,ペットテックビジネスとの関連性は低め(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/electric_top.html)

エ 個人情報保護法

個人データを取り扱う場合,

・利用目的を特定し(15条1項)

・その利用目的を本人に通知又は公表しなければならず(18条1項)

・本人の同意を得ずに,利用目的達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならない(18条3項)

⇒いわゆるプライバシーポリシーを会社HPやアプリで公表し,利用者の明示的な同意を得る必要があります。プライバシーポリシーは弁護士に作成してもらう,或いは作成したものを弁護士にチェックしてもらうとよいでしょう。

デバイスが収集するデータが個人情報に当たらないとしても,当該データが個人の行動把握につながるような性質のものである場合,利用者のプライバシーに配慮する必要があります。個人情報保護法の適用がなくても,データの取得,利用,第三者提供等については,個人情報保護法に準じた取り扱いをすべきでしょう。

4 まとめ

上であげた法規制はあくまで代表例であって、実際にビジネスをする上では、法律だけでなく、数えきれない当局の告示、業界団体のガイドラインまで目を配りこれらに抵触しないように留意しなければなりません。とはいえ,経営者、特にスタートアップと言われる企業の多くは、売上を立てることに日々奔走しており、法務は後回しになりがちですから,適法性をもれなくチェックし,新規ビジネスのリーガルリスクを管理するには,当該ビジネスに精通している弁護士に相談することが大事です。

弁護士法人なかま法律事務所は、ペットと人がしあわせに暮らせる社会を実現するため、ペット事業者に特化した法務顧問サービスを提供しており,IoT系ペットテックサービスに関するアドバイスも対応可能です。

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