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Jリーグにみる「スポーツクラブに求められるコンプライアンス」とは
この記事の目次
1 はじめに
監督の選手に対する体罰,パワハラやセクハラ,アスリートのドーピング問題,アスリートやサポーターの人種差別的な言動,賭博,薬物利用,反社会的勢力とのつながり,八百長,不適切発言によるSNS炎上・・。スポーツに関わる人間の不祥事は,枚挙に暇がありません。
JFA(日本サッカー協会)が2019年、地域・都道府県サッカー協会を対象にガバナンスアンケート調査を実施したところ、職員にコンプライアンス教育を行っていた組織は16%、コンプライアンスに関する規定・ルールがある組織は25%、責任者がいる組織は27%にとどまっていたといいます。JFAは「多くの協会がコンプライアンス教育を行っておらず、ルール等も無い状況」と課題を指摘しています。
2 コンプライアンス=「法令」遵守?
日本では,コンプライアンスを「法令順(遵)守」と訳して理解しているフシがありますが,これは誤解です。コンプライアンスは,法律に違反しなければよい,というわけでは決してありません。
英語の compliance(コンプライアンス)は、「従うこと、追従、応諾,遵奉、遵守」を意味します。日本語では「要求や命令に従うこと。特に、企業が法令や社会規範・企業倫理を守ること。法令遵守」(広辞苑)という意味になります。つまり,法令だけでなく、 社会規範・企業倫理を守る,端的に言えば,「企業・組織に対する社会からの期待に応えること」が正しい「コンプライアンス」の理解と言えます。
3 Jリーグにおけるコンプライアンス推進
JリーグとJクラブは、「ピッチ上のフェアプレー」「ファイナンシャル・フェアプレー」「ソーシャル・フェアプレー」の3つのフェアプレーが、JリーグやJクラブを発展させる基盤となる重要な概念であることに合意し、これを積極的に推進しています。
具体的には、ソーシャル・フェアプレーの浸透には、「全員で」「定期的に」「繰り返し」身につけることが重要として、リーグ全体及び各クラブにおいて、
「ソーシャル・フェアプレーの徹底に関する研修の実施」
「有事に対応する組織体制の構築」
「コンプライアンス オフィサーの選任」
を求めています。
(https://www.jleague.jp/aboutj/3fairplay/social02.html)
4 なぜコンプライアンスが重要か
⑴ クラブの永続的な発展のため
コンプライアンス意識の高いクラブは,優秀な選手,ファンの獲得,クラブ価値の向上など長期的に発展することができます。コンプライアンスの順守は、法令を遵守し社会的な責任を果たすべきであるという理念的なものにとどまらず,クラブが永続的に発展をしていくための鍵となるものと言えるでしょう。
⑵ リスク回避のため
コンプライアンス違反、いわゆる「不祥事」は、クラブの社会的信用を損失し、ファンが離れ、最悪、大口スポンサーの撤退もあり得るなど社会的・経済的損失は計り知れません。経済的なリスクを回避するためにもコンプライアンス対策は急務と言えます。
5 コンプライアンス体制構築に必要なアクション・考え方とは
⑴ トップが強いメッセージを発信する
コンプライアンスに限らず、組織の課題解決には、トップが方針を示すことが重要です。コンプライアンス対策においても、クラブのトップが「コンプライアンスとはなんぞや」を問い、「コンプライアンス違反は断固として許さない」姿勢を、組織の隅々まで浸透させる必要があります。コンプライアンス意識を高め、風通しの良い組織文化づくりを目指しましょう。
⑵ アスリートにとってコンプライアンスは、進んで学びたいと思うテーマでないと いうことを心得る
誤解を恐れずに言えば,アスリートの多くは,「勉強が嫌い」です。なので,クラブがアスリートの学ぶ場を設けなければいけません。また,アスリートが学ぶ意義を見出せるような研修を行わなければいけません。弁護士やコンサルタント等の外部専門家による研修を継続的に実施するなど,選手一人一人の意識改革を促し,コンプライアンス意識が定着するまで時間と労力をかけなければならないのです。
⑶ 社会の「潮目を読む」力を一人一人に植え付ける
コンプライアンスとは,「社会からの要請に応えること」である,と冒頭で申し上げましたが,社会が変化すれば,応えるべき要請も変化します。スポーツ団体は,村社会的な性質が強いことがあり,「業界のオキテ」が幅を利かせていることも少なくありません。組織が閉鎖的であればあるほど社会常識と組織の常識は乖離していきます。スポーツ団体が社会の変化に適応せず,閉鎖的な「業界のオキテ」の基に運営され,団体の価値観と社会の要請が乖離し,この乖離が表面化した時,不祥事が起こります。スポーツ団体のトップやクラブの監督からアスリート一人一人が,社会の変化を感じ取る力が求められています。
6 コンプライアンス対策を弁護士に依頼するメリット
⑴ クラブに潜むリスクを事前に把握できる
法律の専門家である弁護士がクラブのコンプライアンスリスクをいち早く察知し、対策を提案することができます。
⑵ コンプライアンス専門部署の設置・教育の効率化
一部のビッグクラブを除いて、コンプライアンス対策にクラブ職員のリソースを充てることは容易ではありません。コンプライアンス対策を外部の弁護士に任せることでコストカットを実現しつつコンプライアンス 力を高めることが可能です。
⑶ 内部通報窓口の外注化によるコストカット
内部通報窓口とは、例えば選手が監督からパワハラを受けた場合、いわゆる告げ口を恐れ、チームメイト、コーチ、クラブスタッフといった内部の人間には相談しにくいものです。外部の相談窓口を設置することで、選手が相談しやすい仕組みを構築できます。内部で相談窓口を設置する場合の人件費も削減できます。
⑷ 外部の視点を取り入れることで,社会要請の変化をキャッチできる
コンプライアンス とは、「社会の要請に応えること」を意味しますから、今クラブに求められている社会要請は何か、社会の変化をタイムリーにキャッチアップしなければなりません。弁護士にコンプライアンス対策を依頼することで、社会要請の変化に応じた適切なコンプライアンス体制を構築することが可能です。
7 サービス内容
月額1万円(税別)から、ご要望に応じたコンプライアンス向上プランをご提案いたします。
・諸規定類の整備を含めたコンプライアンス体制の整備 5万円〜
・公益通報外部窓口 月額1万1000円(税込)
・選手の相談窓口対応 月額1万1000円(税込)
・スタッフ及び選手向けのコンプライアンス研修 11万円(税込)〜
・第三者委員会として不祥事や不正に対する調査 応相談
・弁護士が社外役員(社外取締役や社外監査役等)として関与 応相談
コンプライアンス体制の構築に取り組みたい
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などのご要望は、ぜひ弊所にお任せください。
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