パチンコやスロットなどギャンブル系の遊戯を、日常的に楽しんでいる人も多いのではないでしょうか。
生活に支障のない範囲で楽しむうちは問題ありませんが、パチンコは依存性が高く、お金が底を尽きると借金してまで通いつめる事例もあります。
最終的に返済できないほどの借金を背負い、生活が破綻する恐れがあるため、節度を守った楽しみ方を心がけないといけません。
今回は、パチンコによる借金がどのように生活に影響を及ぼすのかを解説します。
- パチンコによる借金は高額になりやすい
- 複数のカードローン利用などにより返済が難しくなる
- パチンコには依存性があり止められなくなる
- 専門家に相談して、パチンコ依存解決の糸口を見つける
- 債務整理など借金への対策を検討する
借金がかさみ返済が難しくなる前に、パチンコ依存についての理解を深め、対策するのがおすすめです。
パチンコが原因の借金は高額になりがち
パチンコが原因で借金を背負う場合、金額が高額になりがちです。
パチンコに限らずギャンブルと呼ばれるものは多数ありますが、パチンコやパチスロが原因で借金を積み重ねてしまう事例は多いです。
生活に支障のない範囲で節度を持って楽しむつもりで始めたものの、止められなくなり、いつの間にか借金が膨らんでしまうのでしょう。
ギャンブルによる借金について、具体的な研究結果を踏まえて紹介します。
借金を積み重ねてしまう現状を把握し、ぜひともご自身の生活を見直すきっかけにしてください。
ギャンブルによる借金の平均金額は約400万円

パチンコを含めたギャンブルが原因の借金は、平均約400万円という研究結果があります。
参照元:「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」報告書
2022年の給与所得者の平均年収が458万円という事実を考えると、ギャンブルによる借金が非常に高額である旨を明確に示しています。
ギャンブルの中でも特にパチンコやパチスロは借金の原因になる場合が多い

ギャンブルによる借金額の多さに加え、特にパチンコやパチスロは借金の原因になりがちです。
前述と同様の調査によると、公的機関にギャンブルについての相談に訪れた人のうち、62%以上がパチンコおよびパチスロに最もお金を費やしたと報告されています。
この結果がパチンコの依存性の高さを証明していますが、身近に店舗が多く存在し、容易に利用できる点も関係していると考えられます。
ギャンブルの中で借金を負う人が最も多いのがパチンコやパチスロだという事実は、パチンコを利用する際に知っておくべきポイントです。
パチンコが原因の借金で返済が難航する事例5選
パチンコが原因で借金を抱え、返済が厳しい状況に陥るケースは多いです。
借金が返済できない事態とは、どのような状況でしょうか。
代表的な5例を、以下に紹介します。
- 複数のカードローンやキャッシングを利用している
- 借金が総量規制の額を超えている
- クレジットカードのリボ払いを多用している
- 借金を返済している期間が長い
- 滞納している借金がある
以上の状況に陥らないよう、自己資金の中で楽しむのが理想的です。
上記5例について、以下で順を追って説明します。
複数のカードローンやキャッシングを利用している
カードローンやキャッシングのサービスを複数利用している状態は、借金が返済できなくなる代表的なパターンです。
特に借金を返済するために別の貸金業者からお金を借りて返済に充てる、いわゆる自転車操業の状態は危険だといえます。
借入先を増やすことによって返済の手間や管理の煩雑さの問題だけでなく、利息負担が増加する傾向もあります。
カードローンなど消費者金融からの借り入れにかかる利息利率は、借入金額が少額の方が高く設定されている場合が多いです。
そのため複数の消費者金融から少しずつお金を借りるよりも、1ヶ所の消費者金融からまとめて借りる方が、利息負担を抑えられます。
複数の貸金業者からの借り入れを抱える多重債務の状態に陥ると、業者ごとの返済期日の把握が難しく、常に返済について気を回さないといけなくなるでしょう。
借金が総量規制の額を超えている
総量規制で定められた範囲を超える額の借金をしている場合も、返済が難しい状況といえるでしょう。
申込者の年収に対し1/3以上の貸し付けはできないという、貸金業者に対する法律のことです。
これは年収の1/3以上の借金は、返済能力を超えているという国の判断を表しています。
本来、総量規制の基準を超える借金を申し込んだ際には審査に通りません。
しかし銀行は貸金業法の対象外であるなど、場合によっては年収の1/3以上の金額を借りている人もいるかもしれません。
総量規制を超えていなくとも、年収の1/3ぎりぎりまで借金をしている人も、同様に危険な状態であると考えられます。
年収の1/3という総量規制の基準に達する前に、危機感を持って借金を思いとどまる意識が必要です。
クレジットカードのリボ払いを多用している

クレジットカードのリボ払いが多すぎるのも、借金返済を難しくする要因と考えられます。
クレジットカードで選択できる支払方法の1つであり、利用額にかかわらず毎月一定額を支払う決済のことです。
毎月の支出額が一定になるため家計管理が容易であるという利点があるものの、借金返済においては欠点もあります。
リボ払いの支払残高が増えると、手数料等によって支払額のうちの元本返済部分の割合が小さくなり、借入残高がなかなか減りません。
負債残高や手数料として負担している金額が把握し難いのも、リボ払いの欠点といえます。
リボ払いを利用する際は、毎月の利用額や残高管理を適切に行いましょう。
管理が難しいと感じるのであれば、リボ払いではなく分割払いなど、容易に管理できる方式を選択する方が無難です。
借金を返済している期間が長い
借金の返済が長期間にわたっているのも、望ましくない状況です。
借金返済が長期化すると、利息の負担が次第に大きくなります。
同じ金額を同じ条件の利息利率で借り入れたとしても、返済期限が長いと総利息額は高くなります。
借金はできるだけ早期に完済したほうが、利息負担を抑えられるため経済的です。
長期継続して借金を返済している人は、繰上返済を検討したり普段の生活を見直したりするなど、返済状況を再検討したほうがよいでしょう。
滞納している借金がある
本来の利息に加えて遅延損害金を支払う義務が生じるため、滞納している借金がある場合は、早急に対策を講じる必要があります。
借金などの支払期日を過ぎたときに、1日ごとに発生する損害賠償金のことです。
滞納があるとクレジットカードの新規取得や、既存カードの利用が出来なくなる可能性が高くなります。
カードローン等の新規借入時に審査に通らない、という事態も起こり得るでしょう。
金融機関や貸金業者は、個人信用情報機関と呼ばれる団体に消費者の過去履歴を照会します。
個人信用情報機関では消費者のローンやクレジットカードの利用履歴などを取り扱っており、滞納があると事故情報として登録されます。
事故情報が発覚すると、各種審査に通らなくなるでしょう。
さらに滞納の状態が継続すると、最悪の場合には財産差押の措置に発展するかもしれません。
借金を滞納している場合は、支出を減らして返済のための資金を準備し、できるだけ返済を急ぐ必要があります。
パチンコで借金を負ってしまうのには理由がある
パチンコによって、返済できないほどの借金を負う人が多いのには、どのような理由があるのでしょうか。
パチンコやパチスロなどのギャンブルにのめり込むのはよくないと理解しているものの、それでも抜け出せずに借金に悩む事例は多数あります。
パチンコには人を引き付ける魅力があるため、没頭してしまう前に客観的な視点で自らの状況を顧みましょう。
パチンコが原因で返済できないほどの借金を負ってしまう理由として、主な4例を以下に紹介します。
- お金を使っている感覚がなくなる
- より強い刺激を味わいたい
- パチンコが唯一のストレス発散である
- 負けを取り戻したくなる
ギャンブルは、節度を守って楽しむ分には何ら問題はありません。
借金してでも続けたくなる状態に陥らないよう、自制が必要です。
お金を使っている感覚がなくなる
パチンコに通い続けると、お金を浪費しているという感覚が薄れていきます。
パチンコを楽しむためには、高額の資金が必要です。
状況によっては、1万円単位で出費するケースも珍しくありません。
繰り返しパチンコ店を訪れてお金を使っていると、高額を支払っている感覚が損なわれてしまいます。
周りに自分以外のパチンコ愛好家が多数いる状況により、高額を使って取り組んでいる現状に違和感を感じなくなるのでしょう。
パチンコはお金を使っている感覚を麻痺させ、思わぬ出費につながりやすいと考えられます。
より強い刺激を味わいたい
より強い刺激を味わいたいという理由で、パチンコを止められない人も多いです。
儲けよりもギャンブルそのものを好む人も多く、彼らは高額を賭けた時の興奮や高揚感を味わうために、繰り返しパチンコに通います。
高額を賭け、祈りながら結果を見守る緊張感を一度味わうと、さらに強い刺激を求めてより高額を出費する人もいます。
ギャンブルの興奮や高揚感は他では味わえない感覚であり、ギャンブルの楽しみを知った人は、さらに強い刺激を求めて抜け出せなくなるのです。
パチンコが唯一のストレス発散である
パチンコを続けると、パチンコによるストレス発散が習慣化する場合も多いです。
ストレスを発散するには、スポーツをしたり趣味を楽しんだり様々な方法があるのですが、パチンコに没頭しすぎるとそれ以外の方法で発散できなくなるという事態に陥ります。
パチンコをしていないとイライラが抑えられず、無性にパチンコ店に行きたくなるケースが増えます。
仕事やプライベートでストレスを感じた時に、パチンコでしか解消できないと考えるようになると、借金は増える一方です。
ストレス発散のためだけにパチンコに行っている人は、できるだけ我慢して他の方法でストレスを発散するように心がけましょう。
負けを取り戻したくなる
パチンコで負けが積み重なってくると、損失を再びパチンコで取り戻したくなります。
諦められずに何度も繰り返す中で出費が増え、借金せざるを得ない状況に追い込まれる場合もあります。
パチンコで負けた損失はパチンコでしか取り返せないという誤った思考回路に陥った人は、損失が損失を生む悪循環によって、返済が難しいほどの借金を抱えてしまいます。
あくまでパチンコは遊びであり、損失を補う利益を得るために行うものではないと自覚してください。
パチンコによる借金から抜けられないと生活への影響は甚大
パチンコに依存し、借金を重ねてしまうと、日常生活に甚大な影響が及びます。
なんの支障もなく暮らしていた日常生活が送れなくなる可能性もあるため、取り返しのつかない状態に陥る前に対応しましょう。
パチンコによる借金から抜け出せなくなった場合、生活にどのような影響が出るかについて、主な4例を以下に紹介します。
- ギャンブルに依存して止められなくなる
- 本人および家族の生活が破綻する可能性が高い
- 借金が膨れ上がり、返済できなくなる
- 違法な業者に手を出してしまう
ギャンブルによる借金の影響を理解して、生活改善に活かしてください。
ギャンブルに依存して止められなくなる
パチンコにのめり込みすぎると依存状態に陥り、自分では止められなくなります。
もう少しで勝てそうな状況になると脳内でドーパミンが分泌され、強い高揚感を覚えます。
特にパチンコの音響や映像演出は、実際は負けていても勝っているかのような錯覚を脳内に起こす傾向があります。
パチンコに通い続けるとそれ以外の刺激では満足できず、ギャンブル依存症になる可能性が高くなるため、そうなる前に他に楽しめるものを見つけましょう。
本人および家族の生活が破綻する可能性が高い
返済できないほどの借金をパチンコで抱えてしまうと、本人および家族の生活が破綻する可能性が高いです。
借金をしないとパチンコができない状況では、すでに自由に使えるお金はないと考えられます。
食費や水道光熱費など生活に必要な資金が足りない場合は、日常生活を送るのすら難しいでしょう。
家賃を支払えないと、家主から退去を求められるかもしれません。
家族がいる場合には本人だけでなく、家庭全体が破綻する恐れもあります。
養育費や学費が支払えずに子どもの将来に悪影響が及んだり、配偶者からは離婚を迫られたりするなど、多くのものを失うでしょう。
パチンコが原因で家庭全体が崩壊し、不幸に陥ってしまう事例は絶えません。
借金が膨れ上がり返済できなくなる
パチンコに通い続ければ続けるほど借金は増え、返済が難航します。
パチンコをはじめとしたギャンブルは、勝つ場面もあるものの、総合的には負ける確率が高いものです。
パチンコを継続して楽しむほど出費がかさむのは明白で、借金も膨らんでいくでしょう。
それでもパチンコにのめり込んでいる人は、パチンコの負けはパチンコで返せると考えてしまいます。
パチンコをする資金を獲得するためにお金を借り、結局負けを繰り返すのです。
こうして借金を返すためにさらに借金をして、自転車操業のような状態が続き、借金が雪だるま式に膨らんでいきます。
ギャンブルが原因の借金は、上記の理由で膨れ上がる傾向があるため、返済できない状態に陥りがちです。
違法な業者に手を出してしまう
返済できないほどの借金を抱えると、一般的な貸金業者からはお金を借りられません。
前述のように、消費者金融業者は総量規制により、申込者の年収の1/3以上の貸し付けを禁じられています。
一般的な貸付業者を利用できない状況でもお金を貸してくれるのは、違法業者のみです。
違法業者からお金を借りると、法外な利息を強要される可能性があります。
返済できない場合は脅迫めいた取り立てを受けたり、自宅や職場にまで押しかけてきたりします。
自分だけでなく周囲にも多大な迷惑がかかるうえ、場合によっては家族や近親者に危害が及びかねません。
トラブルの原因となるため、違法業者には絶対に関わらないようにしましょう。
パチンコ依存は専門家に相談しよう

パチンコは依存性が高いものであると紹介しましたが、もしパチンコ依存に陥ってしまった場合は、どのような対処をすればいいのでしょうか。
国は2024年度改定の「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」で、47都道府県すべてに24時間対応の相談拠点を整備する方針を打ち出しており、支援体制は年々強化されています。
現在ではギャンブル依存の人を支援する相談先が多数あります。
返済できないほどの借金を抱え、生活が脅かされる前に、まずは専門家に相談しましょう。
パチンコをはじめとしたギャンブル依存に悩む人向けに、例として以下の4ヵ所を紹介します。
- 一般財団法人ギャンブル依存症予防回復支援センター
- 各都道府県の精神保健福祉センター
- 自助グループなどの回復支援団体
- 専門の医療機関
それぞれの特徴について解説するため、ご自身に適した相談先を決める際の参考にしてください。
一般財団法人ギャンブル依存症予防回復支援センター
一般財団法人ギャンブル依存症予防回復支援センターは、ギャンブル依存症に関する調査や予防、および回復の支援を行っている民間機関で、本人はもちろん家族や関係者からの相談も受け付けています。
一般財団法人ギャンブル依存症予防回復支援センターの詳細
- サポートコール:0120-683-705
年中無休・24時間・通話料無料で、臨床心理士など専門カウンセラーが対応します。
- 無料面談カウンセリング
全国10ヵ所の拠点で50分×3回まで無料。電話相談後に予約し、対面で具体的な回復プランを立てられます。
- 連携先の紹介
借金問題には法テラス、依存症の仲間づくりには自助グループ(GAなど)、治療が必要な場合は専門医療機関や最寄りの精神保健福祉センターを紹介してもらえます。
- 法テラス:借金問題など法律に関連する相談先
- 自助グループ:同様の体験をした人々が集まり、情報を共有することで解決への道を探る団体
- 精神科などの専門医療機関
- 最寄りの精神保健福祉センター等
サポートコールは無料で利用できるため、ギャンブル依存からの脱却のきっかけとして利用するのもおすすめです。
各都道府県の精神保健福祉センター
精神保健福祉センターでも、ギャンブル依存に関する相談ができます。
精神保健福祉センターは、精神保健福祉法によりすべての都道府県・政令指定都市に設置されている公的相談機関です。
こころの健康全般を扱う窓口ですが、ギャンブル依存症に特化したプログラムや家族教室も無料で利用できます。
各都道府県の精神保健福祉センターの詳細
- 相談方法
電話・来所・オンライン(自治体によってはメール対応も可)での相談が可能で、センターの一覧は厚生労働省サイトから確認できます。
- 本人向け回復プログラムで依存からの脱却を支援
例:東京都立中部総合精神保健福祉センターでは、認知行動療法をベースにしたギャンブル障害回復トレーニング(全6回)を実施しており、費用はかかりません。
- 家族向け教室がある
家族やパートナーが参加できるグループ学習を開催し、家族ができる手助けの方法や本人との関わり方について学べます(自治体により名称・回数は異なる)。
- 連携先の紹介
必要に応じて依存症治療拠点病院、自助グループ(GA など)、法的支援窓口へスムーズに橋渡ししてもらえるのも公的機関ならではの強みです。
相談はすべて無料・匿名で利用可能なため、パチンコ依存について気軽に相談できます。
自助グループなどの回復支援団体
ギャンブル依存の相談先としては、自助グループなどの回復支援団体も含まれます。
自助グループとは、同じような問題やトラブルを抱える人やその家族が集まり、体験談や情報などを共有して問題解決を目指す団体のことです。
ギャンブル依存に関連する自助グループには以下のような団体があります。
名称 | 拠点・形式 | 実施内容 | 対象 | 参加費 |
---|---|---|---|---|
ギャンブラーズ・アノニマス(GA) | 全国47都道府県で対面例会/オンライン例会 | 12ステップを用いたミーティング | 本人(家族同席可の会場あり) | 無料(カンパ制) |
DAジャパン | 北海道・東京ほか約9会場+オンライン | ミーティング・資料配布 | 本人(家族参加可の会も) | 無料 |
ギャマノン | 関東中心に全国各地で例会/オンライン | 家族・友人だけで体験共有 | ギャンブル依存症患者の家族や友人 | 無料 |
ジャパンマック | 東京・神奈川・福岡などの回復施設 | 合宿型プログラム・生活訓練 | 本人および家族 | 施設利用料 (所得連動・分割可) |
厚生労働科学研究報告では、自助グループを継続利用する家族は、行政・医療機関のみを利用する家族に比べて当事者への肯定的関わりや問題対応力が有意に高いと示されています。
- 予約不要の会場が多く、思い立った日から参加できる
- 初回は聞くだけでもよく、途中入退室も自由
- 家族会(ギャマノン等)では、本人にどう接するかを学べる
- オンライン例会なら地方在住や多忙な人でも参加しやすい
自助グループには同じ悩みを抱える人が大勢いるため、仲間意識が芽生え、精神的な負担を軽減できるでしょう。
専門の医療機関
ギャンブル依存症の治療を受けられる、専門医療機関に相談するのもおすすめです。
ギャンブル依存症はれっきとした病気として認定されているため、治療を行う専門医療機関が存在します。
厚生労働省が指定する依存症治療拠点病院や依存症専門医療機関では、認知行動療法を中心とした外来プログラムが用意されており、健康保険と自立支援医療制度を使えば自己負担を原則1割まで軽減できます。
国から認定を受けたギャンブル依存症に対応できる専門医療機関は全国各地にありますので、近場の医療機関を探して相談してみてください。
主なポイント | 内容 |
---|---|
探し方 | 依存症対策全国センターの医療機関マップで都道府県別に検索可能 |
治療内容 | 例)久里浜医療センターでは60〜90分×全6回の認知行動療法プログラムを実施。 精神科医・臨床心理士・精神保健福祉士がチームで支援 |
費用負担 | 健康保険+自立支援医療で自己負担は1割(所得に応じ上限あり) |
受診の流れ | 例)久里浜医療センター 電話で予約 → 初診(診察・心理検査) → 外来プログラム開始 |
依存状態から脱却するには、借金自体への対応のみでは不十分です。
本人の意識が変わらないと再び依存状態になり、借金が増える可能性があります。
専門知識を持つ医師のもとでカウンセリングや治療を受けることで、依存症からの回復を目指しましょう。
パチンコによる借金を解決するための方法を探そう
パチンコによる借金を解決するためには、適切な対策を取る必要があります。
ギャンブル依存からの脱却は、前述のような専門機関に相談して改善を目指すのがよいでしょう。
しかし依存症からの脱却を達成できたとしても、すでに抱えてしまった借金の返済義務は消えません。
現状についてできるだけ早く問題意識を持ち、対策に乗り出せば、自力で借金を返済できる確率が上がります。
すでに返済できる見通しが立たない場合には、債務整理など別の手段が必要です。
パチンコによる借金を解決する方法として、以下に代表例を紹介します。
- 家計を見直す
- 貸付自粛制度の活用を検討する
- 専門家に無料相談する
- 債務整理を実行する
借金の状況を把握し、適切な対策を取りましょう。
家計を見直す
自助努力により返済できる借金の規模である場合は、家計を見直して出費を抑制し、早期の返済を目指しましょう。
家計簿などで収支を管理して、無駄な出費を洗い出せば、浮いたお金を借金返済に充てられます。
家計見直しを行う際は、最初に固定費の見直しをするのがおすすめです。
固定費を減額できれば、毎月確実に出費を抑えられます。
例えば、以下のような費用を優先的に見直します。
- 携帯電話の契約や自宅のインターネット回線などの通信費
- 生命保険や損害保険
- 動画や音楽配信サービスなどの利用代金
出費を抑えるのと同時に、副業に取り組むなど収入を増やせるよう検討しましょう。
収入の増加と支出の抑制に努め、借金返済の早期達成を目指してください。
貸付自粛制度を活用する
借金をこれ以上増やさないために、貸付自粛制度を活用するのもよいでしょう。
自身を自粛対象者であると日本貸金業協会などに申告し、貸し付けを停止する制度のことです。
申告を受けた日本貸金業協会などは、自粛の申告情報を個人信用情報機関に登録します。
個人信用情報機関の加盟会員である金融機関や消費者金融は、個人信用情報機関に情報照会をした際に自粛情報が登録されている場合、貸し付けを行いません。
貸付自粛制度は無料で登録可能なため、負担なく利用できます。
貸付自粛制度の概要
申請先 | 受付方法 | 費用 | 登録期間 | 解除手続 | 効果の及ぶ主な業者 |
---|---|---|---|---|---|
日本貸金業協会 (情報はJICCへ共有) | Webフォーム/郵送/窓口 | 無料※ | 申請日から最長5年 | 本人がWeb・郵送で撤回届を提出 | 消費者金融 信販会社 |
全国銀行個人信用情報センター (KSC) | 郵送のみ | 無料※ | 申請日から最長5年 | 本人が郵送で撤回届を提出 (申請後3か月は撤回不可) | 銀行 信用金庫 |
CIC | 直接の受付窓口はなし 上記2機関で登録した情報が自動共有 | ― | ― | ― | クレジットカード会社 |
※郵送の場合は返信用切手(簡易書留)など実費がかかります。
手続きの流れ(日本貸金業協会の例)
- 協会サイトの「本人申告(登録)」ページから申し込み
- 本人確認書類2点をアップロード(郵送の場合は同封)
- 登録完了メール/書面が届く(通常2〜3営業日)
- 情報はJICC・CICに共有され、以降の新規ローン審査がストップ
- 登録期間は最長5年
- 貸付自粛制度は本人のみ申告が可能で、家族による代理申告はできない
- 途中解除する場合も本人の撤回届が必須で、申請から3か月間は撤回できない
- 闇金や信用情報機関に加盟していない業者には効果が及ばない
- 自粛情報が載っている間は、住宅ローンやクレジットカードの審査が事実上通らなくなるため、生活設計を逆算して利用しましょう
- 登録だけで借金問題が根本解決するわけではないので、返済計画が立たない場合は、早めに専門家への相談が大切
借金を増やしたくないと思ってはいるものの、ご自身では止められない場合に適した制度です。
ギャンブル依存症の自覚がある場合は、貸付自粛制度を利用して借金を増やさないようにしましょう。
専門家に無料相談する
借金問題を一人で抱え込むより、まずは無料相談を活用して状況を整理しましょう。
下記の窓口は費用の心配なく利用でき、債務整理の可否や手続費用の概算まで教えてもらえます。
相談窓口 | 電話番号 | 相談料、受付時間 | 申込方法 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
法テラス・サポートダイヤル | 0570-078374 平日:9時~21時 土曜日:9時~17時 ※祝日・年末年始を除く | 通話料のみで相談無料 | 電話・Webで予約 | 全国どこからでも利用可 資力基準を満たせば弁護士費用を立替える民事法律扶助制度も案内してくれる |
弁護士会法律相談センター | ※相談窓口により電話番号、 受付時時間は異なる | 初回30分無料(要予約) | 電話・Webで 最寄りセンターを予約 | 借金問題に精通した弁護士が対応 依頼時は分割払いや法テラス扶助の併用が相談できる |
消費生活センター 消費者ホットライン 188 | 188 ※相談窓口により受付時時間は異なる | 相談無料(通話料のみ) | 電話188 → 居住地のセンターへ自動転送 | 借金トラブルの概要を整理し、弁護士・司法書士など適切な専門機関を紹介してくれる |
- 借入先と残高の一覧(カードローン、クレジット、消費者金融など)
- 直近3か月の家計簿または収支メモ
- 給与明細または確定申告書(収入の裏付け)
- 可能なら返済遅延の督促状や契約書もまとめて持参
無料相談では、専門家が収支や資産状況をもとに最適な手続きを提案し、必要な費用や支払い方法まで具体的に説明してくれます。
パチンコなどギャンブル由来の借金でも、事情を早めに正確に共有するほど解決策の選択肢が広がるため、包み隠さず相談することが早期解決への近道です。
債務整理を実行する
すでに返済できない規模の借金を抱えている場合は、債務整理という方法があります。
債務整理とは、借金の返済が難しい債務者を助ける措置のことです。
家計の見直しなどご自身の対応では返済できない場合に採用する手続きで、借金の減額や返済期限の延長などができます。
債務整理にはいくつかの種類があるのですが、多くの債務者は以下のいずれかを選んでいます。
- 債権者と直接交渉する任意整理
- 借金を大幅に減額できる個人再生
- 借金帳消しが可能な自己破産
それぞれの内容や特徴を紹介するため、ご自身に適した方法を検討してください。
債権者と直接交渉する任意整理
任意整理とは弁護士や司法書士を通して債権者と直接交渉し、返済条件の緩和を求める方法のことです。
借金の元本そのものの減額を求めるのではなく、返済期限の延長や将来の利息免除を交渉します。
返済期限を延長すると毎月の支払額が抑えられ、負担を軽減できます。
他の債務整理方法とは異なり、裁判所を介さないため、債務整理を実行している事実が公開されません。
比較的簡易な手続きで進められ、交渉の多くは短期間で終わります。
任意整理を選択するためには、将来的に借金返済が見込めるほどの安定収入があり、返済の意思を明確に持っていることが条件といえるでしょう。
任意整理の特徴
名称 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
主な効果 | 返済期限を3〜5年に延長し、将来の利息をカット | 元本は基本そのまま |
向いている人 | 安定した収入があり、3〜5年で完済可能な人 | 返済原資があることが条件 |
費用 | 弁護士: 着手金 2〜5.5万円/社 + 減額報酬10%前後 司法書士: 着手金 1〜3万円/社 + 減額報酬10%前後 | 法テラス立替利用可 |
手続の流れ | 受任通知 → 債権額の確認 → 和解案提示 → 和解書締結 | 手続期間:2〜6か月 |
メリット | 裁判所を通さないので非公開/取立てが即停止/手続が比較的簡単 | |
注意点 | 元本は減らない/交渉が不成立になる可能性/ 信用情報に5年程度の事故登録 |
※費用と返済額は全国平均的な例です。事務所や債務額によって変動します。
裁判例:長期取引の過払金約620万円が全額返還された事例
東京地方裁判所平成24年9月20日判決(平成24年〈ワ〉第4607号・不当利得返還請求)では、消費者金融との長期取引で発生した過払金約620万円について元金と利息の全額返還が命じられました。任意整理や訴訟を通じて、多額の債務削減と資金回収が実現し得ることを示した好例です。
- 債権者との話し合いがまとまらない場合
任意整理で和解に至らなければ、裁判所を利用する手続きに切り替えるのが現実的です。
具体的には、個人再生(元本を最大5分の1まで圧縮できる再建型手続き)や 自己破産(免責が認められれば支払い義務ゼロ)を検討します。
どちらを選ぶかは家計の収支・保有資産・職業への影響などで変わるので、自分に合った手続きを判断して選びましょう。
- 信用情報に残る影響
任意整理は和解が成立したかどうかに関係なく、手続きを開始した時点で信用情報機関に事故情報として登録されます。
この情報は約5年間消えないため、その期間は新たなローンやクレジットカードの審査が通りにくくなります。
借金を大幅に減額できる個人再生
個人再生とは、裁判所に申し立てを行い、借金額を大幅に減らす債務整理方法のことです。
借金額を1/5〜1/10程度に減額し、残りの借金を3〜5年かけて返済します。
裁判所に申し立てを行うため、債務整理を実行した事実が公開されるのが欠点です。
自己破産と異なり、条件次第で自家用車や持ち家などを手放さずに実行できるため、失いたくない資産がある場合に適しています。
さらに、自己破産ではギャンブルによる借金は申立が却下される可能性があるのですが、個人再生の場合は問題ありません。
減額後の借金返済が見込めるほどの収入がある人は、個人再生が適しています。
個人再生の特徴
名称 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
主な効果 | 借金を原則5分の1(最低100万円) まで圧縮し、3~5年で分割返済 | 住宅ローン特則で自宅を残せる場合あり |
向いている人 | 任意整理では元本が重く完済が難しい 安定収入があり資産を守りたい人 | ギャンブル負債でも利用可 |
費用 | 裁判所費用(印紙1万円+郵券数千円) 再生委員報酬 15~20万円前後 弁護士費用 30~50万円前後 | 法テラス立替利用可 |
手続の流れ | 申立 → 再生開始決定 → 債権調査 → 再生計画案提出 → 認可決定 → 返済開始 | 手続期間:6~12か月 |
メリット | 借金を大幅カット/自宅や車を手放さずに済む/浪費、ギャンブルでも利用可能 | |
注意点 | 官報に掲載、手続が公開/保証人に請求が及ぶ/信用情報に5~10年程度登録 |
※費用と返済額は全国平均的な例です。事務所や債務額によって変動します。
裁判例:パチンコで膨らんだ借金でも個人再生ができた事例
名古屋高等裁判所平成26年1月17日決定(平成25年〈ラ〉第441号・給与所得者等再生)では、パチンコ浪費で膨らんだ債務にもかかわらず、安定した給与収入と現実的な返済計画が示された点を重視し、再生開始決定を維持して債権者の不同意を退けました。ギャンブル負債でも個人再生が認められる条件を明確に示した好例です。
- 再生計画が認可されなかった場合
債権者の不同意や収入不足で計画が不認可になると、再度の提出や自己破産への切り替えを求められることがあります。
提出前に弁護士と資金計画を綿密に確認することが重要です。
- 信用情報に残る影響
個人再生を申し立てると、手続き開始時点で事故情報として登録されます。
情報は約5~10年間残り、その期間は新規ローンやクレジットカードの審査が通りにくくなる点に注意しましょう。
借金帳消しが可能な自己破産
自己破産とは、個人再生と同様に裁判所に申し立てを行い、借金を帳消しにする方法のことです。
自己破産が認定されると、税金や損害賠償金など一部の負債を除き、すべての借金が免除されます。
債権者にとっては大きな損失となるため、裁判所も自己破産の決定には慎重になります。
ギャンブルなど浪費が原因による借金の場合、自己破産の申し立ては却下される場合が多いです。
しかし状況によってはパチンコを原因とした借金でも、自己破産の認定を受けられる場合があります。
認定可否の判断は難しいため、弁護士など専門家に相談しながら手続きを進めるのが一般的です。
自力では借金返済が不可能であり、生活を一新してやり直したい場合は、自己破産の実行を検討しましょう。
自己破産の特徴
名称 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
主な効果 | 税金など一部を除くすべての借金が免責によりゼロ | 免責許可決定が確定すると請求が止まる |
向いている人 | 収入や資産で返済の見込みがまったく立たない人 | 生活再建を最優先したいケース |
費用 | 裁判所費用:同時廃止事件は3万円前後/少額管財事件は+20万円 弁護士費用:25〜40万円前後 | 法テラス立替利用可 |
手続の流れ | 申立 → 破産手続開始決定 → 債権調査・財産換価(管財のみ) → 免責審尋 → 免責許可決定 | 手続期間 6〜10か月(管財は〜1年) |
メリット | 全債務が帳消し/取り立て、訴訟が停止/将来利息もゼロ | |
注意点 | 浪費、ギャンブルは「免責不許可事由」になり得る 20万円超の資産は処分対象(管財事件) 資格制限(宅建士、警備員など)が手続中のみ発生 信用情報に5〜10年登録 |
※費用と返済額は全国平均的な例です。事務所や債務額によって変動します。
裁判例:ギャンブル浪費と非協力で免責が拒否された事例
盛岡地方裁判所宮古支部平成5年3月24日決定(平成5年〈モ〉第9号・自己破産)では、ギャンブル浪費が止まらず、必要資料の提出にも協力しなかった点を重視して免責を不許可としました。浪費が改善せず手続にも誠実さを欠く場合には、自己破産でも免責が拒否されることを示す対照例です。
- ギャンブルの借金でも免責が認められるケース
近年はパチンコ等の浪費でも、反省、家計改善が見られれば裁量免責が下りる事例があります。
裁量免責とは、ギャンブルなど浪費があっても、破産法252条2項に基づき、裁判所が更生の見込みありと判断すれば例外的に免責を認める制度のことです。
裁判例:ギャンブル浪費でも裁量免責が認められた事例
千葉地方裁判所八日市場支部平成29年4月20日決定(平成29年〈ソラ〉第1002号・自己破産)では、多額のパチンコ浪費が免責不許可事由に該当するとしつつも、債務者の反省、家計改善策、破産手続への誠実な協力を重視し、裁量免責を許可しました。浪費があっても更生の意思と改善行動が示されれば、自己破産で免責が認められることを裏付ける好例です。
ただし浪費の金額や期間が大きいと不許可となることも多いため、資料(家計簿、反省文)を整え、弁護士の助言を受けながら進めることが重要です。
- 生活への影響と再建の準備
- 破産手続中は一定の資格、職業が制限されますが、免責が確定すれば制限は解除されます。
- 官報に氏名が載るものの、一般生活で支障を感じるケースは少数です。
- 免責後も5〜10年間はローンやクレジット契約が難しいため、現金主義の家計管理を徹底して再発防止を図りましょう。
パチンコによる借金から脱却しよう
パチンコは、一度のめり込むと止められなくなる依存性があります。
お金を浪費している感覚が損なわれ、パチンコ以外でのストレス発散ができなくなり、より強い刺激を求めて繰り返しパチンコに通い詰めます。
借金をしても止められなくなり、精神的なトラブルも増え、危険な状況です。
パチンコが原因で、返済できないほどの借金を背負う人も少なくありません。
複数のカードローンの利用やリボ払いの多用は、返済不能に陥る可能性が高くなります。
パチンコなどギャンブル依存に関して相談したい場合は、ギャンブル依存症予防回復支援センターなどの専門機関を利用しましょう。
ギャンブル依存からの脱却を目指しながら、すでに負っている借金については自力での返済の可否を検討し、適切な対処を行う必要があります。
自力での返済が難しいと判断される場合には、債務整理という選択肢もあります。
弁護士など専門家と相談しながら、適切な債務整理方法を採用して借金に対応しましょう。