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2021.03.26
離婚・男女問題

【解決事例】夫から依頼を受け,妻からの過剰な財産分与の要求を排斥し,面会交流の合意をして早期離婚を成立させた事例

 

【ご相談の概要】

突然子と一緒に別居した妻の代理人弁護士から受任通知が送られてきた。その内容は、今般離婚を前提とした別居を開始したこと、今後、離婚についてのお話し合いを進めていきたいこと、離婚成立までは婚姻費用を支払ってほしいというものであった。離婚はやむなしと考えるものの、適切な金額の養育費を支払うこととしたい、財産分与についても双方財産資料を開示して行いたい、子とは継続的に会いたいので、面会についてきちんとルールを定めたい。

【受任後の対応】

即日受任通知を送付し、婚姻費用は,依頼者と協議の結果,妻提示の金額を支払うことを合意した。離婚には応じるものの、養育費、財産分与、面会交流についてきちんと取り決めをしたいため、これらの取り決めをメインに交渉を行うこととなった。

養育費は、相手方から当方の年収が年次により上昇することを理由に算定表より高い金額を提示されていた。

当方は、年収の上昇の具体的可能性がないこと、会社の収益により収入は左右されることを根拠に、算定表ベースで養育費を算出するよう求めた。

財産分与は適切な資料を提示し、金額を定めることとした。

面会交流は、当方と相手方居住地が遠距離であることから、面会頻度、面会場所、面会の費用の負担をどのように設定するかについて折衝を行った。

交渉が難航したことから、交渉を継続しつつも当方から調停申し立ても行った。

【結果】

調停期日まで多少時間があったことから、交渉を継続した。

交渉段階で、養育費は月10万円を20歳までとすること、財産分与は財産資料開示のうえの適切な金額を支払うこと、面会は月1回程度行うこと、年金分割の割合を0.5とすることなどをおおむね合意し、調停に至った。

一定程度合意が取れていたことから、初回の調停期日で、調停成立に至ることができた。その内容は、①養育費月10万円を20歳まで、②財産分与は資料開示のうえの適切な金額を分割で支払うこと、③面会交流は月1回程度行う、面会場所は子の福祉に配慮して設定すること、④年金分割の割合を0.5とすることというものであった。

【弁護士のコメント】

別居した配偶者が依頼した弁護士から受任通知が届いた場合には、むやみに自分で対応せず,まず、弁護士に相談することをお勧めします。法的知識がないと,相手方の要求が正当な根拠のあるものかどうか判断しかねるからです。

本件においては、双方早期離婚を望むものの、相手方の算定表より高めの養育費の要求や面会頻度や面会費用の負担をどう設定するか等、協議事項は複数ありました。当方依頼者が譲歩する点は多かったものの、早期離婚を実現するために、養育費は先方の要求を受け入れるかわりに、財産分与の分割払いを提案すること、面会費用は各自負担とする提案をする形でご納得いただき、上記内容で調停を成立させるに至りました。

本件では、財産分与において自宅の売却による清算や退職金の金額の算出をどのように行うか等多少複雑な計算もありました。しかし、代理人をつけて計算を行うことによって、適切な金額を算出し、適正な分与額を支払う合意に至ることができました。

財産分与において、自宅を売却する場合や、退職金の計算等,金額が大きくかつ複雑な計算が伴う場合には、適切な金額を分与できることとなるよう、弁護士をつけて交渉することをおすすめします。