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2021.04.09
離婚・男女問題

【解決事例】不貞をした夫との間で,慰謝料300万円他財産分与を内容とする調停離婚を成立させた事例

【ご相談の概要】

夫から突然に離婚したいと告げられた。理由について訊ねると「束縛がきつい。」とのことだった。これまで夫婦関係は円満に進んでいたので怪しいと思って調べると夫はマッチングアプリで知り合った複数の女性と肉体関係を持っていることが判明した。夫が複数の女性と関係を持っていたことにショックを受けたので、離婚しかないと考えている。離婚までの生活費もきちんともらいつつ、適切な財産分与を受け、慰謝料の支払いを受けたうえで離婚をしたい。

【受任後の対応】

婚姻費用の支払いと離婚条件を記載した受任通知を発送し、交渉を開始した。相手方は、離婚は早期にしたいが、婚姻費用の金額や養育費の金額に不服があり、提示された金額を支払うことはできない、慰謝料の金額が高額すぎるので応じられないと述べたため、婚姻費用分担調停及び離婚調停を申し立てることとした。

調停においては、婚姻費用、養育費の額を算定するにあたり、当方依頼者の年収をいくらと見るかが争点となった。当方依頼者は、当時就労していなかったので収入を0円と見るべきと当方は主張、相手方は、当方依頼者の収入をパート収入で得られるであろう金額である120万円とすべきと主張した。交渉の結果、15歳で算定表を切り替えることを条件に当方依頼者の年収を120万円と見て婚姻費用及び養育費を算定することで合意した。

財産分与は、対象財産が不動産、預貯金、証券、株式、確定拠出年金など複数あり、検討を要した。不動産は、売却金から購入時に双方両親に借り入れた金額を控除した残額について折半とした。預貯金やその他の金融資産は通常どおり、別居時を基準として折半とした。確定拠出年金について、当方は別居時の評価額を財産価値として評価すべきとし、相手方は拠出額の総額を財産価値として評価すべきとし、この点で主張が対立した。しかし、離婚慰謝料は300万円払うと述べたので、確定拠出年金については相手方主張の算定によることを合意した。

【結果】

調停により合意にいたった。その内容は、相手方は、申立人に対し、①未払い婚姻費用として約40万円を支払う、②養育費として15歳までは月10万6000円、15歳から20歳まで(20歳の時点で大学に在学していたときは22歳まで)は12万6000円を支払う、③財産分与として約1280万円を支払う、④慰謝料として300万円を支払う、⑤年金分割の割合を0.5とするというものである。

【弁護士のコメント】

いきなり離婚を告げられた場合、自分がどう動けばいいのかとても不安に感じると思います。

そのため、相手方から離婚の話が出た場合、自分には何ができるのか、何をしたらよいのかについて弁護士に相談することをお勧めします。自分には離婚するつもりがなくても、本格的に離婚の話となった場合に備えて、情報を得ておくのは重要です。

本件の依頼者は、夫から一方的に「生活費は5万円しか渡さない。」と言われていたこともあり、早々に婚姻費用分担調停と離婚調停を申し立てる必要がありました。早期に調停を申し立てたことから、相手方にプレッシャーがかかり、お話し合いに真摯に向き合う様子となっていきました。本件は、不動産の売却や複数の金融資産があり、評価額をどうするかという細かい部分での争いもあり、財産分与が多少複雑な事案でした。その複雑な財産分与について、適切に資料開示を求めた結果、相当の財産分与を受けることができました。

本件のように、財産分与が複雑な事案においては、相手方の主張が適切であるかどうか判断することが難しくなってきます。そのため、特に金融資産が多くある方の場合においては、弁護士に依頼をすることによって適切に対象財産の評価を把握することができるので、不利益を受ける可能性を減らしつつ離婚することが可能となります。