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断尾は虐待か?動物愛護管理法の観点から弁護士が考えてみました。
みなさま、こんばんは。弁護士の中間です。
最近、犬の断尾・断耳(ドッキング)についての記事が、Yahooニュースで掲載されました。
→記事はこちら
うちの愛犬はコーギーですが、断尾はされていません。愛犬を迎える時は、知識がなく、断尾の有無はあまり気にしなかったのですが、たまたまブリーダーさんが断尾をしない方でしたので、ふさふさしっぽのコーギーを我が家に迎え入れることとなりました。
↓こんな感じ
1 断尾はなぜやるのか
コーギーで言えば、断尾がなぜ行われるのか、というと、
・牧羊犬の仕事を行うにあたり、走る際に邪魔にならないようにするためであったり、家畜にしっぽを踏まれたり噛まれたりしないようにするため
・キツネと間違えられて銃で撃たれないようにするため
・衛生上の問題(尻尾に糞便が付着して感染症や皮膚病を起こすのを避けるため)
・狂犬病の予防になる(という迷信)
などなど諸説あるようです。
2 具体的にどうやるのか
上記記事によれば、「ブリーダーで行う場合には、尾の根元を輪ゴムやヒモできつく縛り、血行を遮断して、尾を壊死(生きている体の一部を死なせること)させます。壊死した尾は、自然と落下します。」とのこと。
聞くだけでも痛そうです・・。初めて聞いた時は、「なんて可哀想な!」と憤りを感じたことを覚えています。
3 断尾は適法か
直感的に、こんな痛そう・可哀想なことをやるなんて虐待だろう、と思うでしょう。でも、街を歩いていると、尻尾があるコーギーより尻尾のないコーギーの方がよく見ますよね?
なぜなんでしょうか。
実際、コーギーの母国(?)イギリスやドイツ、スペインなど、断尾・断耳が禁止されている国は少なくありません。
他方、日本では、動物の愛護及び管理に関する法律(以下、「動物愛護管理法」と言います)において、断尾が明確に禁止されてはいません。
しかし、私個人の見解としては、断尾・段耳は、動物愛護管理法に違反する虐待行為ではないか、と考えています。
・動物愛護管理法2条
→基本原則として、「動物が命あるものであることに鑑み、何人も動物をみだりに殺し、傷付け、または、苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない」と定めており、現代社会において、断尾及び断耳が、およそ動物の飼育管理上、必要性を欠き、「動物をみだりに」「傷付け」るものに他ならず、動物愛護管理法の基本原則に反するのではないか。
・動物愛護管理法44条
→「動物をみだりに殺し又は傷付けた者は五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する」と罰則規定がある
確かに、断尾・断耳について明示的に禁止しているわけではありませんが、動物をみだりに傷つける行為に他ならないのではないか、動物虐待ではないか、と考えます。
人のエゴで犬が痛い思いをするようなことはあってはいけません。
次の法改正で、犬種問わず、断尾・断耳行為を明文で禁止する条項を設けて欲しいな、と思っています。