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2021.04.05
ペット関連

ペットテックと法規制②(マッチング系サービスに関する法規制)

前回は,ペットテックのうち「ⅠoT」に関する法規制をご紹介しました(記事はこちら

今回は,マッチング系のペットテックビジネスに関連する法規制を説明していきたいと思います。

1 マッチング系ペットテックベンチャー企業の例

ぱうわん|ペットシッターの検索・予約・支払いをアプリで一括管理 (pawone.jp)

DogHuggy(ドッグハギー)| 愛犬家の助け合いコミュニティ/愛犬のお泊り予約サイト

保護犬・保護猫の里親募集サイトならOMUSUBI(お結び) (omusubi-pet.com)

nyatching-ニャッチング | 猫仲間ほしくにゃい?

シッターさんと飼い主さんとのマッチング,飼い主さん同士のマッチング,保護犬と里親のマッチング,猫に特化した飼主のマッチング

など,様々な属性の人同士をつなぐサービスがあります。

2 マッチング系ペットテックビジネスに関する法規制

⑴ 動物愛護法

例えば,ドッグハギーは,登録しているドッグホストが犬を一時「預かる」サービスですが,同サービスの利用規約をみると,

第4条「本サービスの内容」において,

「1 本サービスは飼い主とドッグホストを結ぶオンラインプラットフォームを提供しています。当社は、いかなる場合においても、ホスティングに関する契約の当事者とはなりません」

と定められています。

つまり,ドッグハギーはあくまでプラットフォーマー,取引の場を提供するだけであって,取引の当事者にはならない,ということです。

上記で紹介した他のサービスも運営会社は,所謂プラットフォーマーとしての立場を明確にしています。

ドッグハギーを例にすると,ホストと飼い主との間のトラブルについて,ドッグハギー側が責任を負わないようにする意味合いもさることながら,ドッグハギーのサービスが動物愛護法に抵触しないように作成された利用規約と思われます。

というのも,動物愛護法上,「業として」動物を「預かる」場合,第1種動物取扱業として規制を受けることになるところ,第1種動物取扱業として動物を「保管」する場合,飼養施設の規模や管理の規制,動物取扱責任者を事業所ごとに設置する義務など,様々な規制が適用され,ドッグホストと飼い主をつなぐプラットフォームサービス自体が立ち行かなくなるリーガルリスクがあるため,です。

ペット関係の新規ビジネスを立ち上げる際,まず留意すべきは,動物愛護法に抵触するかどうか,です。その点では,上記であげた各サービスは,サービスの在り方を工夫する(プラットフォームの立ち位置を明確にする等)ことで,ビジネスを成立させることができています。

⑵ 個人情報保護法

個人情報保護法上,個人データを取得,利用する場合は,利用目的を特定したうえで通知・公表する必要がある他(個人情報保護法15条1項,18条1項,2項),個人データの安全管理措置義務(同法20条),第三者提供制限(同法23条1項,24条)など,様々な規制が課せられます。

そのため,上記のようなペット関係のプラットフォームビジネスを提供する場合,プラットフォーマーは,ユーザーの会員登録情報やプラットフォームの利用状況等個人データを,個人情報保護法の規制に抵触しないよう管理する必要が生じます。

⑶ 資金決済法

上記の通り,各運営会社は契約当事者ではないため,飼主の支払う各種代金は直接サービス提供者に支払われることとなっていますが,

例えば,利用ごとにポイントが貯まり,サービス利用時にポイントを支払いに使えるような仕組みを導入する場合,資金決済法の規制を受ける可能性があります。リピーターを増やす施策としてポイントサービスを導入することはまま思いつくところですが,気を付けましょう。

資金決済法の規制を受ける場合,いわゆる「前払式決済手段」としての規制が問題になります。

「前払い式決済手段」とは,①金額等の財産的価値が記載・保存されること,②対価を得て発行されること,③代金の支払い等に使用されること,の3要件を充たすものを言います(同法3条1項各号)。ただし,発効日から有効期間が6か月未満である場合には,資金決済法の適用対象外となります(4条2項,同法施行令4条2項)。

プラットフォームサービスの場合,サービス提供主体が各ユーザーになりますから,「第三者型前払式決済手段」として内閣総理大臣の登録を受ける義務が生じます(同法7条)。

また,発行保証金の供託義務(14条,施行令6条),情報安全管理の為の必要な措置(21条)を講じる義務も生じます。

3 サービスの健全性について

上記で述べた通り,あくまでサイト上で行われる取引の当事者は,プラットフォーマーたる運営会社ではなく,登録しているユーザーです。

そのため,不適切な取引を行うユーザーが現れることがしばしばあります。

違法行為を行う(又は違法と言えなくともマナーが悪い)ユーザーがいる場合,他のユーザーが安心して,当該プラットフォームを利用できなくなる結果,利用者が減少するリスクがあります。

そのため,各運営会社は,サービスの健全性を保つために,利用者のクチコミを掲載したり(例えばドッグハギーでは,ホストのレビューを掲載しています),利用規約に違反したユーザーの利用停止措置,登録時の本人確認等々を徹底して行うことで,ユーザーが安心してサービスを利用できるように,運営しています。