2016年06月30日

養育費を減らしたい,増やしたいというご相談が増えています。

子どもがいる夫婦が離婚する際には,養育費を取り決めることが一般的です(取り決めをしなくても離婚はできます)。

 

しかし,「養育費でもめるくらいならサッサと離婚したい。」と言って取り決めをしなかったりする方がいらっしゃいます。

養育費は原則として子どもが成人するまで発生しますので,

その間に親の収入が変化したり再婚したり,学費や医療費などがかかり,養育費が足りなくなったり,様々な事情の変化がありえます。

例えば,転職して収入が増えた減った,再婚することになって相手の連れ子と養子縁組する場合など(細かい話はまた別の機会に)。

 

そこで,養育費の増減額請求が認められています(民法766条3項,家事事件手続法150条4号・別表第2の3項)。

 

しかし,養育費を増やす,減らすことについては,以下のような注意点があります。

 

 

 

 

①請求してすぐ減ったり増えるわけではありません。

裁判所外で合意した場合は合意をし直す,調停または裁判で決めた金額は調停もしくは審判等があって初めて変更されます。

 

 

②清算条項付きの離婚合意をしていても後から請求できます。

いわゆる清算条項を定めていたとしても事情の変更があれば請求できます。

 

 

③離婚時に請求しない合意をしていても後から請求できます。

早く離婚したいがために養育費を請求しないと約束してしまう人がいらっしゃいます。

もちろんこのような合意はすべきではありません。子どものことを考えれば離婚するときにきっちり養育費の取り決めをすべきです。

ただ,仮に養育費を請求しない合意をしていても,このような合意を維持することが子の監護養育に著しく不都合になった時には,非親権者に対して,合意を変更して相応の負担を求めることが可能です。

また,両親が合意をしていても子ども自身は合意の当事者ではないので,子どもは自分の扶養請求権として扶養料の請求をすることができます(民法877条1項)。

そして,親権者は子どもの代理人として非親権者に対して扶養料の請求ができます(家事事件手続法18条)。

 

 

④子どもが私立の学校に通うことになった,病気になって多額の入院費がかかってしまう場合,非親権者に分担を求めることができます

離婚時にこのような費用が発生するときは別途協議する旨定めておくことができます。

また協議が整わない場合は,家庭裁判所に調停・審判の申し立てが可能です。

 

 

⑤高すぎる養育費の合意をした場合に減額できることがあります。

義務者(養育費を払っている人)が最低限の生活を維持できないほど高額な場合,減額が認められるケースがあります。ただし,いったん支払うことを認めていることや合意に至った経緯はどの程度の減額を認めるか判断するにあたって考慮されます。ですので,減額するとしても算定表より高額になってしまうことがあります。

算定表の2倍以上の養育費を合意したあとに,算定表の1.5倍程度まで減額を認めた裁判例があります(東京家裁平成18年6月29日 家月59巻1号103頁)。

 

ですので,養育費を払う側は,最初に決めるときに妥当な金額でちゃんと決めないと高額な養育費を負担せざるを得なくなるので注意が必要です。

 

 

 

 

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