2017年07月21日

ペットトラブル裁判例③ 手術直後の死亡について獣医師の不法行為責任を肯定した裁判例

 

昨今,飼い主の権利意識の高まりや,獣医療費用の高額化を背景に,獣医院と飼い主のトラブルが増加傾向にあります。
 
手術中にペットが死んでしまった,手術後にペットの容態が急変して死んでしまったといったトラブルで,どういった場合であれば獣医師が責任を問われるのでしょうか。
 
東京地判H24,12,20
Xさんが,飼い犬4匹(チワワ)に歯石除去手術を受けさせたところ,そのうち2匹が施術後まもなく呼吸停止して死亡したという事案です。
 
このケースでは,

・「ラピノペット」と「ソムノペンチル」という麻酔薬を使用していたところ,前者は,臨床試験77例中67例で犬に無呼吸が認められるなどの副作用がありえた,後者は同様の副作用が高確率で発生するものであった
・そのため,獣医師には,異常があれば気管内送管など適切な治療をすべきとされ,
・これらを投与する際には,獣医師には,適切な治療の準備をしたうえで,投与後,患畜を継続的に監視し,異常があれば適切な措置を迅速に実施する注意義務を負うのが相当であるとしました。
 
そして,
・施術前に体重も測らず,何らの準備もしなかった
・麻酔投与後ほどなく呼吸が停止したこと
・既往症はなく健康であったこと
などから,
・本件飼い犬の死亡は麻酔薬の副作用によるものであることを認め,
呼吸停止などに備えた準備をして異常発見時,迅速に気管内挿管を実施する又は治療を開始していれば脂肪は回避できたとして,医師の注意義務違反と死亡との因果関係を認め。
犬の取得価額合計10万,慰謝料30万,葬儀費用4万,弁護士費用の支払いを当該獣医に認めました。
 
 
 
飼い主さんは,施術前に手術の詳細,投薬の副作用などしっかり説明を求めることが大事です。
他方,患者とのトラブルを予防する観点からすれば,動物病院には,相当程度の説明義務と施術前後を通じて獣医として求められる注意義務を尽くす必要があります。
また,獣医一人でなく医院全体のスタッフで患畜を監視する体制の構築が重要です。
 
患者,獣医双方の観点から,参考になる裁判例といえるでしょう。

 

 

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