2017年07月18日

ペットトラブル裁判例② ドッグラン内での事故で飼い主の動物占有者としての責任を否定した事例

犬の飼い主は,民法718条に基づいて動物占有者の責任を負っており,飼い犬が他人に損害を加えた場合には,「相当の注意」を尽くしていない限りその損害を賠償する義務を負います。
 
実務上,この「相当の注意」が認められて責任を免れるケースはあまりありません。そういった意味で飼い主の責任はとても重いものと言えます。
 
しかし,「相当の注意」を尽くしていたとして,飼い主の責任を否定した珍しいケースがあります。

 
東京地裁H19・3・30(判時1993・48)
ドッグランのフリー広場で,X(女性)がノーリードにした飼い犬(パピヨン)が追いかけて来るのを振り返りながら小走りしていたところ,Yの飼い犬(雑種の大型犬)が他の犬と追いかけ合って走っていたところと衝突し,Xが骨折その他の傷害を負い,Yが動物占有者としての責任を問われたケース。なお,小型犬専用広場があるにもかかわらずXは大型犬もいるフリー広場に入ってきていた,Yはドッグランの規約を守っており,いままで同じドッグランでYの飼い犬が事故を起こしたことはなかった。
・民法718条1項但書の「相当な注意」とは「通常払うべき程度の注意義務を意味し,異常な事態に対応できる程度の注意義務まで課したものではない」とし,Yとしては「飼い犬をドッグランの雰囲気になじませてリードを外した後は,犬が興奮して制御が効かないような状態が発生しないよう,またはそのような事態が発生したり,事故が発生した時,直ちに対応ができるように,犬を監視すれば足りる」と判示し,
・このような場所に人間が立ち入ることは危険な行為であり異常な事態に当たるから,Xのような者が現れる事態を予見する必要はなく,Yは「相当な注意を尽くしていた」と認められるとし
Xの請求を棄却しました。
小型犬専用エリアがあったのにわざわざ大型犬のいるエリアに入ってきていたこと
Yがドッグランの規約を守っていて,今までトラブルを起こしたことはなかったこと
も有利な事情として考慮されていた事案です。
もちろん,ドッグラン以外の路上や公園での事故とは事案が異なりますし,ドッグランの構造や当事者及び犬の行動によって,結論は大きく変わってきますので,ドッグランだから自由に遊ばせていればそれでよい,ということにはなりまませんが,珍しいケースですので紹介させていただきました。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ペット法務特設サイトを開設しました。

http://pet-bengoshi.com/


→LINE@のお問合せはこちら

弁護士ドットコム(平成28年11月17日現在,神奈川県第1位)
離婚HP https://www.bengo4.com/kanagawa/a_14100/g_14104/l_263606/#pf3
刑事事件HP https://www.bengo4.com/kanagawa/a_14100/g_14104/l_263606/#pf5

事務所HP http://nakama-law.jp

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇